コラム

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業務の生産性向上のためにすべきこと-必ずある業務改善箇所の見つけ方その2:当社の情報システムは業務の生産性向上に貢献しているのか?チェックリストで点検してみよう

オフィスの様子

情報システムはあって当然の現代。でも、自社の実態に合わないシステムを使っている企業が多い。

中小企業でも業務処理に情報システムを活用するのは当たり前。会計ソフトや給与計算ソフトなどは、あなたの組織でもきっと使われていますよね?
次に多く使われているのが、販売管理のシステムで、受注、納品、請求などの業務を扱う情報システムです。長年、多くの企業の販売管理業務をシステム化してきて分かったことですが、中小企業の販売管理業務は、実は企業による違いが多い分野だということです。一つの企業に長く勤めて、就業企業数が少ない方には、意外に思われるかも知れませんね。
ところが、販売管理のシステムとしては、パッケージソフトを活用している場合が多いのが実情です。企業ごとの違いが多いにもかかわらず、パッケージソフトをそのまま活用していれば、業務の実態に合わないのは道理です。クラウドサービスでも、基本的には同じことが言えます。
中小企業向けのパッケージソフトやクラウドサービスなどは、自社に合わせた変更ができない、あるいは、できたとしても現実的でない場合が大半です。
このような背景から、業務にとって理想的とはいえない情報システムを、使い方の工夫で対処しながら、なんとか使っているケースが多いのです。業務の効率化や業務品質の向上という点で販売管理システムの役割は重要なのに、このシステムが業務の実態とかみ合わなければ、業務の効率化や品質向上を妨げ、生産性を低下させることになるでしょう。
在庫管理や生産管理などのシステムでも同じようなことが良くあります

何故、自社の実態に合わない情報システムを使っているのか。

自社に合わせた変更ができない情報システムを選べば、当然、それを使うしかありません。たとえ業務の実態に合っていないとしても。
もちろん、自社に合わせた変更ができるパッケージソフトやクラウドサービスもあります。しかし、変更できる内容に制約が多かったり、変更できても要望とはかけ離れた形にしかならなかったり、あるいは、変更のコストに見合う効果を確信できなかったりなどにより、変更を断念することもよくあります。このような場合も、結局は実態に合わない情報システムをつかうことになりますよね。
いずれの場合でも、パッケージソフトやクラウドサービスに業務を合わせるのが理想です。良識ある業者さんほど、業務プロセスを大きく変更してでも、パッケージソフトやクラウドサービスに合わせるよう、強く推奨するはずです。

業務プロセスの変更の際に忘れがちな注意点。お客様目線での配慮が必要。

ところが、ここには注意が必要です。業務プロセスを変更した結果、顧客を失った、取引が縮小された、といったことが実際には起こり得るのです。顧客は、あなたの組織が決め細かい取引条件へ対応してくれるといった理由などから、あなたの組織を取引相手に選んでいるのかもしれません。そして、その長年の積み重ねが、あなたの組織への信頼となっているのかもしれません。こういった点を軽視して、鼻息の荒い一部の人に引きずられるような形で、業務プロセスの変更に邁進してしまうこともよくあるのです。
業務プロセスをパッケージソフトやクラウドサービスに合わせるよう推奨する業者さんは、あなたの組織の大切な顧客の要望を理解してはいませんし、想像することも難しいでしょう。自社のパッケージやサービスを売ることを優先していて、あなたの組織にとって最適な選択かどうかを優先しているわけではありません。売らなければいけないものがある彼らの立場になって考えてみれば、至極、当たり前のことですよね。
少なくとも、販売管理業務の業務プロセスを変更する場合は、取引件数や取引金額が多いお客様のことを考えてみましましょう。あなたの組織に対するロイヤリティへのマイナスインパクトがあるなら、パッケージソフトやクラウドサービスに合わせるように変更することは、再検討が必要でしょう。

パッケージソフトやクラウドサービス活用時の注意点とは

ここでちょっと寄り道。パッケージソフトやクラウドサービス活用時の注意点をおさらいしておきましょう。

注意点1:「カスタマイズ」の将来的な有効性を確認する

パッケージソフトにせよ、クラウドサービスにせよ、「カスタマイズ」といって、見た目や機能を色々と変更できることを謳っている場合があります。
一方、パッケージソフトやクラウドサービスは、時間の経過に伴い、提供事業者の都合で、機能が変更されたり追加されたりするのが普通です。将来、提供事業者の都合による変更や追加があった時、「カスタマイズ」した結果が、失われたり、役に立たなくなったりせずに、問題なくずっと使い続けられるか確認しましょう。

注意点2:極力、そのまま使わないと導入効果は持続しない

将来的に使い続けられることができないカスタマイズは絶対に避けるべきです。また、使い続けられるかどうか確約を得られないカスタマイズも、極力避けるべきです。詳しくは割愛しますが、いずれの場合も、利用者にとってはデメリットの方が大きいでしょう。
このような事情から、パッケージソフトやクラウドサービスは、例えカスタマイズできたとしても、極力そのまま使わないと、その導入効果は持続しないので、ご注意を。

注意点3:導入後の経営環境の変化への対処はできないと心得るべき

この点が最も見落とされる点です。
パッケージソフトやクラウドサービスは、使い始めた後、「自分たちの意志で、自分たちの思うように変更することはできない」のです。これは、「経営環境の変化に追従できる柔軟性はない」ということを意味します。選定する際にはこの点に思いが至らず、使い始めてその弊害にある時気づく。そして、その時、悔んだり、憤慨したりする。こういうことが、実は結構あるのです。

これで分かる!業務の効率化や品質向上を妨げる情報システムでのBADチョイス

さあ、本題に戻りましょう。お使いの情報システムについて、
業務の実態に合っているかどうか、あなたは把握していますか?
あるいは、業務の実態に合っていると自信をもって言い切れますか?
「大丈夫。わたしの組織の情報システムは、業務の実態に合っている」と思ったとしても、以下のチェックリストで念のため確認してみてください。もしかすると「合っていると思い込んでいた」だけかもしれませんから…
以下のチェックリストに当てはめてみて、もし、答えが一つでも“No”なら、情報システムが業務の実態に合っていないBADチョイスにはまっている可能性大です。そうならば、生産性低下という悪影響が間違いなくあるはずです。

チェック1:二重入力はしないで済むような情報システムを採用していますか?

複数の情報システムを利用している場合、あるシステムに登録した情報を、別のシステムにも登録しなければいけないとしたら、二重入力が必要な状態です。もし、このような状態になっているなら、業務の効率化も品質向上も妨げる、最悪のBADチョイスです。

チェック2:繰返し業務やパターン化された取引が簡単にできるような情報システムになっていますか?

例えば、過去の取引データを活用すれば、新たな取引の登録が簡素化できるのに、うちの情報システムではそんなことができない。だとしたら、その情報システムは、業務の効率化を阻むBADチョイスです。

チェック3:利用している情報システムは、業務のルールに合ったチェックが、必要かつ十分に組込まれていますか?

例えば、見積での値引き率の限度を決めているのに、その限度を超えた値引きをしてもシステムが警告してくれない。こんな情報システムなら、業務の品質向上を妨げるBADチョイスです。

チェック4:利用している情報システムは、最少の手順で業務が処理できるようになっていますか?

例えば、在庫してある商品の販売において、受注すると同時に在庫の仮引当がされず、出荷が完了するまで在庫が更新されない…、出荷(あるいは納品)したあと、売上計上を別途行わないといけない…、そんな情報システムは、業務の効率化を阻むBADチョイスです 。

如何でしょう。お使いの情報システムが、ここに挙げたBADチョイスに一つでも該当するようなら改善を検討して下さい。
社内の業務については、効率には意識が向きますが、品質は見落としがちです。効率と品質は表裏一体です。品質が悪化すれば、効率も低下していきます。効率、品質、いずれが低下しても、結局は生産性の低下につながります。くれぐれもご注意ください。

以上、自社の実態に合わない情報システムがもたらす生産性の低下を中心にお話ししました。ここに示したことについて、「ひょっとしたらうちの組織も…」と感じる方は、ぜひ、現状を確認してみてください。そして、確認の結果、問題が発見されたなら、改善に取り組んでください。
では、どう改善すればいいのか。これは、業務プロセスの変更による効果、顧客ロイヤリティへの影響度などを踏まえ、ICTを上手に活用した最適な業務プロセスをデザインするしかありません。最適な業務プロセスは、同じ業種に属していたとしても、個々の組織によって異なります。特に、組織の長所や独自性といった点に磨きをかけるなら、どんな組織にでも一律に通用する最適な業務プロセスなどあるはずがないのです。みなさんも、最適な業務プロセスのデザインにチャレンジしてはいかがでしょう。
本コラムを参考に、情報システムの活用において、生産性低下をもたらすにもかかわらず、見落としてしまいがちな問題を発見してみてください。発見できれば、みなさんが所属する組織の生産性向上のきっかけになるかもしれません。本コラムを業務改善のヒントとして活用して頂ければ幸いです。

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