コラム

/ Column

RPAでECサイト商品登録業務を自動化して、業務の生産性と品質の向上に成功

ネット通販業 M社

当社は、主に雑貨をネット通販にて販売している。豊富な品揃えで顧客から一定の評価を得ており、今後とも多品種を取り扱うことを重視していくつもりである。
ただ、定番として長く売れる商品がある一方、一定期間で入れ替わる商品も多く、その管理に手間がかかっていた。特に、いわゆるモールへの商品登録では、モールへの一括登録用のEXCELシートの作成に手間がかかっていた。
仕入点数には大きなばらつきはあるが、およそ30社の仕入先から商品を仕入れている。商品名や価格についての情報提供の方法が仕入先ごとにマチマチであることが、手間のかかる大きな原因となっていた。大抵の仕入先からはEXCELで情報を入手できるが、EXCELシートのフォーマットがバラバラであり、モールへの一括登録用シートへの転記を、それぞれごとのフォーマットに合わせて、違った操作をしなければならなかった。
また、時々、転記をミスしてしまい、そのことが原因で商品購入者に迷惑かけてしまうこともあった。

RPAを知り「RPAツール」を試してみることに

このような悩みを抱える中、業務を自動化できる「RPA」という便利そうなツールの存在を知り、さっそく調査を開始した。
「RPA」とは「ロボティック プロセス オートメーション(Robotic Process Automation)」を略した用語で、「仮想知的労働者」や「デジタルレイバー(Digital Labor)」などとも呼ばれているとのこと。人が行っていたPCの操作などを、「ロボット」のように自動で実行可能にする技術で、人件費や労働時間の大幅な節約による「業務効率のアップ」と、データ処理の精度の向上による「業務品質のアップ」のいずれをも期待できるらしい。
RPAを実現するためのツールが「RPAツール」で、当社は中小企業ということもあり、比較的安価なツールのうちから、日本語対応や日本でのシェアなどを重視してツールを選定し、評価版を導入して試してみることにした。

RPAツールにて自動化シナリオを作成

「RPAツール」はすぐに導入できるようだが、すぐ導入する場合は、自動化の効果が高そうな業務があることが前提だと、調査の過程で知った。当社の場合、前述のような業務が存在し、前提にマッチしていると判断したので、すぐに試してみることにした。
ただし、「RPAツール」を導入しただけで自動化ができるわけではない。業務を自動化するためには、自動化の手順を記した「シナリオ」というものを作成する必要がある。いきなり自力でシナリオを作成できるかどう不安だったので、まずは、専門家にお願いして、シナリオを作成してもらうことにした。
先に述べたモールへの商品登録業務に苦労していることを伝えたところ、当社にて、現在の業務手順を詳しくインタビューしてもらった上で、シナリオを作成してもらうことになった。インタビュー後、必要な情報やファイルを提供したところ、数日後にはシナリオのたたき台が出来上がった。そのたたき台を持って専門家が当社に再度訪れ、たたき台のシナリオを、テストしながら現場調整のために修正するという作業を何度か繰り返し、シナリオが完成した。

RPAツールの活用効果

RPAツールの活用により、今まで抱えていた悩みは、おおむね解消された。効果は、かなりあったと言える。具体的には、以下のとおりである。

1仕入先はおよそ30社あり、商品登録担当者は、モールへの一括登録作業に毎月20時間程度かかっていた
2責任者が登録内容をチェックすることになっていたが、きちんとチェックするためには、登録担当者の作業時間と大差ない時間がかかるため、実質的なチェックは行われず、チェックは形骸化していた
3人手作業ゆえ転記ミスが起こり、商品の登録を間違えるケースが時折発生した。商品購入者への謝罪等に至ることもあった。
RPAによる自動化前
1商品登録担当者が毎月20時間程度かかっていた作業が、1時間足らずで終了するようになった。
2自動化されたため、責任者は、業務を適切なタイミングで実施したかどうかだけをチェックすればよくなり、負担が大幅に軽減された。その結果、チェックもきちんと行われるようになった
3商品登録の間違いは一切なくなり、業務の品質が格段に向上した。転記ミスによって商品購入者に迷惑をかけることはなくなり、当然、謝罪に至ることもなくなった。
RPAによる自動化後

手間が減っただけでなく、商品購入者に迷惑をかけずに済むようになったことで、サイトの信頼が高まったこともプラス効果である。また、クレームにつながる原因が減ったことで、運営スタッフの精神衛生上のプラス効果も大きい。

RPA活用における留意点

今回は、自動化を全てRPAツールだけで行ったわけではなく、一部、EXCELのマクロも活用した。大事なのは、適材適所で、効果を高めるためには、各種ツールを柔軟に使い分けることが望ましい。

以上、今回のRPAツールを活用した自動化は、高い効果を発揮した。今後は、他の業務にも応用して、さらなる生産性向上を目指す予定である。
ただし、RPAの適用範囲を広げてさらなる生産性向上を実現するためには、業務改善を行って業務を最適化・標準化することが重要だということを、調査の結果知った。今後はその点も踏まえて、RPAの活用を推進していく予定である。

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